有給休暇とは
要件を満たした全ての労働者に対し付与される休暇のことで、使用者(事業所)が賃金を支払います。要件は、(1)雇い入れ日から6カ月経過していること、(2)その期間の全労働日の8割以上出勤した場合、原則として10日の有給を与えなければなりません。有給休暇は1年に限り翌年へ繰り越しができます。
1年に5日以上取得の義務化
使用者は、年休付与日数が10日以上の従業員にたいして、有給付与日から1年以内に必ず有給休暇を5日取得させる義務があります。年5日以上有給休暇を取得させなかった場合は、従業員1人あたり30万円以下の罰金が処されます。
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
勤続年数 | 6カ月 | 1年6カ月 | 2年6カ月 | 3年6カ月 | 4年6カ月 | 5年6カ月 | 6年6カ月以上 |
有給休暇の賃金
有給休暇の賃金は法律で以下のいずれかで支払うことが決まっています。
- 所定労働時間 労働した場合に支払われる通常の賃金
- 平均賃金
- 健康保険法による標準報酬日額に相当する金額(労使協定が必要)
通常、月給者であれば給与を控除しないということになりますので、(1)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金ということになります。日給月払い制であって月によって労働日数が違う場合は、(2)の平均賃金を使うことも考えられます。3つの計算方式のいずれかを選択するかは、就業規則等で明確に規定することとなっています。
外注・手間請けはどうなの?
建設現場で一人親方が適正な請負契約を締結している場合は問題ありませんが、常時、使用者(上請け)が労働時間や作業内容を指揮命令している外注・手間請の場合は偽装一人親方となります。働き方が一人親方でない場合、従業員として健康保険・厚生年金・雇用保険に加入し、雇用契約を結ぶ必要があり、6カ月経過後、有給休暇を付与する必要があります。
日給月払い制でも有給休暇は適用される
建設業の場合、現在も半数以上が日給月払い制を採用しており、年次有給休暇の考え方がない事業所が多いことが課題です。日給月払い制であっても有給休暇は適用され、罰則(30万円以下の罰金)もあります。有給休暇 を適正に運用するために、事業所の所定労働日を定め、適正な労務管理をする必要があります。また有給休暇に関する事項は就業規則への記載事項となるため、事業所の大小にかかわらず、取得のルールを決め、就業規則へ記載することが必要です。